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2009年4月号 [和庵だより]

 なごみ庵を開所した当初から、寺報「なごみあんだより」を発行しています。徐々に読んで下さる方が増えて郵送しているのですが、2009年4月号の記事が少し反響があって、こうして反応があるのは嬉しい事だな、と改めて感じました。
 反響があるという事は、良いテーマを選んだのだろうと思いますので、4月号よりHPにもアップしてみます。縁があってこちらのHPにいらした方、ちょっと長いですが、ぜひお読みになって下さい。
*後日、調子に乗って2009年1月〜3月号もアップロードいたしました。



「ある少女の死」

 少し重いタイトルになりました。
 日本のテレビ番組でも何度か紹介された、カナダのアシュリー・ヘギという少女が亡くなりました。行年十七歳、しかしその肉体は高齢者のものでした。
 彼女の病はプロジェリア。八百万人にひとり、現在世界で三十人ほどの患者が確認されているそうです。早老症と呼ばれ、通常の十倍程度の速度で老化が進み、平均十三歳で死に至る不治の病です。
 初めて彼女を知ったのは三年前でした。彼女は十四歳、日本で言えば中学二年生ごろで、生き生きとした生命力あふれる年代です。しかしアシュリーはすでに肉体年齢百歳を越え、様々な老化現象に悩まされていました。

 しかし彼女の魂は常に前向きな気持ちを失いませんでした。体調がすぐれず大好きな学校に行く事が出来ない日でもその姿勢は崩れません。彼女の言葉で最も感銘を受けたのは「もし次に生まれ変わるとしても、また私に生まれたい」というものでした。
 傍から見れば決して幸福には見えない人生の彼女に、その言葉を言わしめるものは一体何だったのでしょうか。

 私は「生まれ変わっても再び自分に生まれたい」という言葉を言える事は、人生のひとつの目標になり得るものだと思います。
 今の自分に言えるだろうか?
 今のあなたは言えるでしょうか?


仏教のことば「生老病死」

 二千五百年前、お釈迦さまは四苦八苦という事を説かれました。生き物としての根源的な四苦と、人間特有の四つの苦しみ、それぞれ四つずつで、計八苦。今回の「生老病死」は前の四つの苦しみです。
 生…この世に生まれる苦しみ
 老…年老いる苦しみ
 病…病気になる苦しみ
 死…死ぬ苦しみ

 現代の日本人は、平均七十年から八十年の時間をかけて人生の経験を積みつつこれら四苦に苦しみ、あるいは乗り越えていきます。しかし上述のアシュリーは、苦しみに対する準備の時間もままならない間に次々と四苦に襲われます。しかしその恐怖に敢然と立ち向かう姿は、歴史上の英雄に匹敵するものではないでしょうか。

 お釈迦さまはまた無常という事を説かれました。私たちはやがて老い、必ずいのちを終えるという事です。
 それはゆっくりとやってくるので普段私たちはあまり意識していません。それに対してお釈迦さまは「昨日があって今日が無いのでもなく、朝があって夜が無いのでもない。吸う息があって吐く息が無い、これが無常である」と説かれました。
 私もあなたもこの無常の生を生きています。それがわかっていながらも時間を無駄にしてしまう私なのです。

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