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『「さよなら」のない別れ 別れのない「さよなら」 あいまいな喪失』読了 [カウンセリング]

どのような形であっても、大切な人を亡くす喪失感は心にダメージを与えますが、本書ではサブタイトル通り「あいまいな喪失」がテーマとなっています。

『「さよなら」のない別れ 別れのない「さよなら」 あいまいな喪失』
ポーリン・ボス著 南山浩二訳 学文社
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「あいまいな喪失」という言葉の意味が最初わかりにくいかもしれませんが、もともとはアメリカで、ベトナム戦争などで行方不明・生死不明となった兵士の家族の、通常とは異なった喪失感が研究対象でした。

軍用機が撃墜されて乗組員が行方不明になったり、ジャングルの奥地で生死不明になる兵士も数多く、その家族たちはハッキリとした死の証拠を確認できません。
また、時々「奇跡の生還」が報道され、諦めかけていた、諦めようとしていた気持ちが再燃させられてしまうのです。

タイトルにある「さよなら」は、精神的な離別の事で、「別れ」は肉体的な離別を指します。つまり「さよならのない別れ」とは、戦争や大災害などで突然大切な人を失う事を表しています。

逆の「別れのないさよなら」は、体はそこにあるのに、心の交流が出来なくなってしまう事を指します。つまり認知症やある種の精神疾患、脳挫傷や脳梗塞などです。


今回の東日本大震災、2011年9月11日現在で死者15782名、不明者4086名となっています。この不明者の多くが津波で海にさらわれてしまった方々だと思います。
大震災から半年以上が過ぎ、不明者のご家族は頭では「もう生きてはいないだろう…」と思っていても、それを受け容れられない、受け容れたくない方が大半だろうと思います。

また高齢化社会がさらに進み、認知症などの患者数が増える事も考えられます。

私たちは「さよならのない別れ、別れのないさよなら」に対する覚悟をしておかなければならないのかもしれません。

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