延暦寺その2 僧侶のご飯 [比叡山 回峰行]
その2では、延暦寺での食事の作法について。
最初の食事は到着した日の夕食。この食事を「非食(ひじき)」と言います。「食にあらず」という意味でしょうか。
ちなみに3年前に同協会の研修で伺った、鎌倉の臨済宗・建長寺での作法と似たところがありました。
こちらが食事のための別棟「居士林斎食道場」
本来の仏教の戒律では、正午以降に食事をとってはいけないのです。今回の研修にはタイのお坊さん2名も参加していて、彼らはこの戒律を守っているので、夕食は辞退して野菜ジュースを数本飲んでいました。
中国や日本では、インドと違う気候だったり修行形態が違うので、午前中だけの食事では体がもちません。なので「食事ではない食事」という事で「非食」なのでしょう。ちなみに建長寺では夕食を「薬石(やくせき)」、つまり体を健康に保つための薬、と捉えていました。
で、最初の食事。白米・吸い物・野菜の煮物・切り干し大根・ゴマ豆腐・たくあん、以上です。どれも、それほど量は多くありません。また食事の前後に読経があります。
食事の光景
会話は当然禁止、音を立てる事もダメなので、箸の上げ下げ、食器の上げ下げに神経をすり減らします。しかも漬け物一切れでも、器を持って口に運ばねばなりません。
最初にお茶を湯飲みに注ぎ、食べ終わったらお茶とたくあんで食器をすすぎ、そのお茶も全て飲み干します。出された食事を残す事は許されません。全員で食べ始め、全員が終わるまで黙して待ちます。その間ずっと正座。
最初の食事が終わった後、ここ数年で一番の恥ずかしい出来事が!
指導の住職が「ご飯が多い方は?」と尋ねると、年配の方や女性の方数名が手を上げ、翌日からご飯の量が減る事になりました。
次に「ご飯が足りない方は?」と言って会場を見渡します。少し躊躇していたら住職と目が合いました。その目が「遠慮しなくて良いんですよ」と言っているようです。他にも若い方、体格の良い方も多いから、何人もいるだろう、と思って手を上げると「はい、お一人ですね」
え……!?
後ろを振り返ると、確かにワタクシだけ挙手しています。私語禁止の食堂内に笑い声が響きます。あぁ…恥ずかしい…。
で、翌日の昼食。
炊き込みごはん・吸い物・たくあん。朝のお粥もそうでしたが、炊き込みごはんも大盛りです。近くの若い人が恨めしそうに見ています(笑)。
ちなみにこの炊き込みごはんの具は、前日の野菜煮物で余った部分や、出汁をとった後の昆布やしいたけが使われています。無駄を出さず使い切る、それも徹底されていました。
ところでお盆の向こうに小さなお皿が見えますね。これは「生飯(さば)皿」です。食事の前に、1人数粒ずつのご飯をこの生飯皿に移し、食事後に自然の生き物に与えます。建長寺では境内の池の鯉に与えていましたが…
延暦寺では窓の外の台にご飯を置き、小鳥に施していました。
ご指導をお願い致します。
日本の僧侶は何時から夕食をとるように成りましたか。
よろしくお願いします。
by 今井 龍祥 (2016-06-03 21:32)
今井さま
すみません、詳しくは存じません。
本文中にもあるように、インドと日本の気候の違いで夕食をとるようになったと理解しております。
by ボーズandカナコ (2016-06-07 10:19)