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2017年4月の法語 [月々の法語]

仏の御名をきくひとは ながく不退にかなうなり
Those who hear the Buddha’s Name attain forever the stage of nonretrogression.

今年の法語カレンダーは、2009年以来8年ぶりに、親鸞聖人の和讃(わさん)が題材になっています。和讃は七五調の和語の歌で、平安時代に流行した「今様(いまよう)」と形式は同じですが、仏・法・僧伽を讃嘆したものが特に「和讃」と呼ばれます。
また、カレンダーでは4行ある和讃の2行が記されていますので、まずは全体像をご紹介します。

たとひ大千世界に みてらむ火おも過ぎ行きて
仏の御名をきくひとは ながく不退にかなうなり

<ことばの意味>
大千世界:仏教の世界観で、この世界全体を指す「三千大千世界」の略。
みてらむ火:「満ちる火」の意。
不退:仏教語で、正定聚(信心が定まり、仏に成ることが定まった位)から退かないこと。
かなう:「適合する」、「あてはまる」の意。

<現代語訳>
たとえこの宇宙を猛火が包もうとも、その満ち満ちている火の中をも突き進んで、阿弥陀仏の名号(南無阿弥陀仏)を聞き求める人は、永遠に正定聚の位を退かない地位を約束されるのだ。


<私のあじわい>
今でこそロケットで宇宙から地球を見ることができるようになり、私たちが住んでいる世界はどのような形なのか分かっていますが、昔は世界のあちこちで想像力にあふれた世界観がありました。

古代インド人の世界観は壮大です。まず虚空に3枚重なった円盤状のものが浮かび、周囲に月や太陽が浮かんでいます。円盤は下から風輪、水輪、金輪と言い、「金輪際」という言葉はここから来ています。

金輪はお盆のようになっていて、内側に水が満ちていて、これが海になります。海には中央に大きな島がひとつと、東西南北にもそれぞれ島があり、南に浮かぶ島が自分たち(古代インド人)が住んでいる場所とされていました。

中央の島には天までとどく須弥山がそびえ立っています。おそらく北方にそびえるヒマラヤ山脈がイメージされているのでしょう。ちなみにお寺の本堂で、ご本尊が安置されている壇は、この須弥山になぞらえて須弥壇と呼ばれています。
また、須弥山の上空にも世界があり、最も上を有頂天と呼びます。金輪際といい有頂天といい、私たちが使う言葉には多くの仏教語が含まれています。

さて、これが1世界です。これが1000集まると小千世界。小千世界が1000集まると中千世界、中千世界が1000集まると大千世界で、呼び方としては三千大千世界となります。つまり10億の世界が集まって三千大千世界となるという、途方もない世界観です。

あまりにも想像力たくましい話ですが、以前国立天文台の所長を務めた観山正見さん(浄土真宗寺院のお生まれです)は、偶然ではあろうが、実際の宇宙の構造に似ている、と仰います。

太陽や月を含む1つの世界が、私たちの住む太陽系。その太陽系のような星系が数多く集まって1つの銀河系(小千世界)が形作られます。さらに銀河系が多数集まり銀河団(中千世界)となり、銀河団が多数集まって宇宙全体(三千大千世界)、となるのでしょうか…。果てしなさ過ぎて、頭がクラクラしてきます。

さて、ようやく話が和讃に戻りますが、その宇宙全体とも言える三千大千世界がたとえ火に覆い尽くされたとしても、その炎に屈せず阿弥陀仏の名を聞き求める人は、仏さまに成ることが間違いない位(正定聚)に至る、と説かれています。

「炎に屈せず」とは、かなり勇ましい内容の和讃ですが、それでも私たちに必要なことは阿弥陀仏の名を称え聞くことです。なによりお念仏を大事にして欲しいという親鸞聖人のお気持ちが伝わってくるような気がします。

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