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東工大で宗教のおはなし [その他色々]

東京工業大学で理系の話ではなく宗教の話が聴ける、しかもこのメンバー!
ということで、お盆最終日にもかかわらず都合をつけて行って参りました。

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主催の「リベラルアーツ研究教育院」というのは「教養教育」を指すそうで、専門分野だけを磨くのではなく、社会に出た時に様々な知識や教養を得た人物になってほしい、という思いから始まったのだそうです。

さて当日は、真夏とは言え涼しいほどの気温、そして雨。
たまたま開場時間より早めに到着すると、すでに来場者を会場に入れており、しかも8割ほどの席が埋まっています!

その後も定員を遥かに超える人が押し寄せ、同じ棟の別の部屋を次々に解放していきます。最終的には当初250名の会場に800名の人がいらっしゃり、結局第4会場まで作ったようでした。
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さて、肝心の中身ですが、各先生それぞれ深く広い知識がありますので、とてもここには書き切れません。それでも印象に残り、シンポに通底するテーマとなったのは『20世紀末から日本は「生きづらさ」を強く感じる国になった』という話でした。

戦時中や貧しい時代では、人は必死に生きようとする。必死に生きようとすれば、生きていることに生き甲斐や喜びも感じるし、理想を持つことも出来る。しかし平和になった今の日本で、人々は空しさを感じながら生き、人生に意味を感じず、死や破壊に近づくことでなんとか生きているのではないか。


4カ国の高校生に行った自己肯定感のアンケート結果には、非常に驚かされました。様々な項目があるのですが、日本は軒並み低いのです。
日本<<<韓国<中国<アメリカ
というイメージです。
これでは「生きづらさ」を感じるのも当たり前だと思いますが、自殺大国の日本よりも自殺率が高い韓国が、意外にも自己肯定感が低くないのは不思議でした。


また、IS(イスラミック・ステート)の話も頻出しました。
日本でも数年前、北海道大学の学生がISに参加しようとしましたが、欧米の国でも同様のことが起きているそうです。彼らは別に熱心なムスリムというわけでもなく、アッラーの教えを広めたいと思っている訳でもなく、求めているのは死や破壊です。死や破壊を感じることで、生きる実感を持ちたいのではないか、ということでした。

生きづらさを感じる若者は、以前は学生運動や過激派に身を投じました。
その後は新宗教ブームに乗って、オウムを代表とするカルトに走る若者が多くいました。
今はボランティア活動に取り組む方も多いようです。ボランティア活動ならば一見良いことをしているようですが、入れ込み過ぎ、打ち込み過ぎになっている状態は、まるでカルト教団のようだという意見もありました。


パネリスト4人中、2人(池上彰さん・上田紀行さん)がダライ・ラマ法王との対談集を出版していることもあってか、法王の話題もよく出ました。

私が僧侶なので余計に強く感じたのかもしれませんが、「生きづらさ」というキーワードに対するには、ダライ・ラマ法王が実践する慈悲の教えや輪廻の信仰が鍵となるのではないか、ということでした。

つまり、現実の社会に生き甲斐や希望を見出せなくても、宗教的な世界にそれを持つことは心の平安に繋がるのではないか。
また「自分・今」という狭く短いスパンだけで物事を見るのではなく、縁起の教えによって広く、輪廻の教えによって自分の人生を超えた視点で観られるのではないか、という意見でした。


なにしろ3時間もあったので、他にも色々な話がありましたが、私が印象深く覚えているのは上記の通りです。今後このメンバーで非公開形式の対談を2回重ね、来年には出版される予定だそうですので、詳しい内容を知りたい方はそちらをお待ちください。

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