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お花をお供えするということ [その他色々]

近所のスーパーに、仏花に関する貼り紙がありました。
smallIMG_2447.jpg
まさかスーパーで仏教に触れた貼り紙があるとは予想外で、嬉しくなってFacebookに投稿したところ、思いがけず大きな反響がありました。また様々なご意見を頂き、仏花ひとつとっても色々な意味があるのだな、と学ばせて頂きました。

基本的に好意的な意見が多かったのですが、やがて「下と上に書いてあることが矛盾してない?(浄土宗:加用雅信さん)」という意見が出ました。
よく見ると下には「仏さまに仏花をお供えする」という趣旨が書かれていて、上には「仏花は仏さまにお供えするものではない」という趣旨が書いてあります。確かに矛盾していて、一般の方がこれを見たら「どっちやねん」と感じるでしょう。
また上には、「仏花は仏様にお供えするものではない」と言い切っていて、これに違和感を覚える僧侶も多くいらっしゃいました。

上のポップで言いたいことは「仏花は仏さまにお供えするだけの意味ではない」ということでしょう。
「短い期間でしおれ、枯れていく花を見ることによって、いのちの有限性に気づく。そこから故人への思いを深めたり、いま自分が生きていることを感謝するという意味もあるんだよ」と伝えたいのだと思います。

また、このような考え方は浄土真宗的な傾向があります。
浄土真宗では「供養」という概念があまり無く、お供えや法事を「故人のため」というよりは「実は自分に向けられているもの」という捉え方をします。
けれどそれは仏教全体としてはやや特殊な考えともいえ、そこに関しても様々な宗派の僧侶からご意見を頂けましたので、長くなりますがご紹介させて頂きます。


・お経に「願心清浄」とあるように、尊い存在(仏さまやご先祖さま)にお花やお菓子をお供えしたいという、その心が尊いのです(浄土宗:長谷雄蓮華さん)。

・仏花は仏さまにお供えするものであり、回向してこちらを向いていると考えていた(天台宗:小野常寛さん)。

・こういう解釈もありだとは思うけれど、仏さまへのお供えではないと否定している部分はおかしいのではないか(真言宗:塚越秀成さん)。

・真言宗的には、荘厳を整える(美しく飾る)という意味だと思う(真言宗:増田俊康さん)。

・我流だが、仏花はお浄土の美しさ、灯明はお浄土の確かさ・頼もしさ、お香はお浄土の清らかさをそれぞれ表していると説明している(浄土真宗:竹柴俊徳さん)。

・真言宗では場合によってトゲのある植物を使うこともある。また六種供養の考え方から花は忍辱を表すという教えもある(真言宗:色摩真了さん)。

・敬意を込めて物や行いを捧げ奉仕すること、またその善果を回向することの一環として捉えていました(浄土宗:伊藤竜信さん)。

・花は種から芽を出して暑さや寒さに耐えて花を咲かせることから、耐え忍ぶことを表しています。また、花を見る者の怒りを鎮める役割もあります。つまり、仏花を供えるということは耐え忍び、怒るなという教えにつながっています。六波羅蜜の忍辱です(真言宗:中村一善さん)。

それを踏まえて、大きく文章を変えず、より正しく表現すると以下のようになるでしょうか(もとの文案:天台宗:染川智勇さん)
仏花は仏さまにお供えするだけの意味ではない…ってご存知でしたか?
お供えを通して仏さまが説かれた「命あるものはいつか死ぬ」という命のはかなさを再確認させてらうために、生花を供えるのだともいえます。
仏花を見ることで、故人を想い生きている大切さを感じる。
仏花をお参りする人に向けて供えるのには、そんな意味もあるのです。


スーパーの店員さんに聞くと、この貼り紙はジェルフラワーという生花の会社が作ったものとのこと。
http://www.jelflower.com

連絡をとって色々とお伝えさせて頂いたので、そのうちより正確な内容に直っていて欲しいと願っています。

追記:花屋さんに連絡を取ると、この貼り紙を作った方は退職し、連絡の取れない状態とのことでした。どういった経緯で仏花について調べ、この文面を作ったかお聴きしたかったので残念でした。

追記2:禅の世界観では「美しい」と素直に感じた気持ちを尊重し、また「亡き方にお供えしたい」という素直な気持ちを大切にする。不立文字という言葉がある通り、説明より感覚を大切にする(臨済宗:藤尾聡允さん)

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あっちゃん

可愛らしくて、心和むPOPですね。
仏花を購入されるお客様の心に、寄り添ってますね(*´-`)
by あっちゃん (2018-07-25 22:44) 

ボーズandカナコ

とても有り難いPOPです。
もう一言付け加われば、なお良い感じです (^_^;)
by ボーズandカナコ (2018-07-26 00:01) 

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