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対談 下河原忠通さん×占部まりさん [その他色々]

東京 恵比寿の英治出版Baseで行われた、医師の占部まりさんがシルバーウッド社長の下河原忠通さんをゲストに迎えるトークイベントに行ってきました。

占部さんは日本メメント・モリ協会を立ち上げており、以前に「死の体験旅行」を受講していただいたご縁です。

下河原さんは「銀木犀(ぎんもくせい)」というサービス付き高齢者住宅を運営する会社の社長で、その個性的な取り組みによりカンブリア宮殿で取り上げられたこともあります。
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私の母も高齢になり様々な問題が生じていますし、また日本の高齢者医療や看取りに関して非常に興味があるので参加をしました。


下河原さんは元々は福祉系ではなく建築業界の方ですが、様々な形式の建物を手がける中で「サービス付き高齢者住宅」に携わり、現在は首都圏に10ヶ所以上の施設を運営されています。

銀木犀は、高齢者がその人らしく生活することを大切にしています。
そのために、とにかく本人の意思を尊重する・余計な医療はしない・自分で出来ることは自分でしてもらう、ということを徹底しています。

施設内に駄菓子屋さんを作って、近所の子どものたまり場になっている場所もあるとのこと。全く別の業界から入ったため、常識にとらわれない発想ができたようです。


中でもハッとさせられたのは、「入居の際、どこで死にたいですか? と聞くんです。そして入居後も1年に1度は尋ねます」という言葉です。

生にあまりに価値を置きすぎ、死を口にすることはタブー視されがちです。しかも高齢者にそれを直接聞くのは誰しも躊躇するでしょうが、それを臆さずに尋ねます。

そして死期が近づいた時、集まったご家族に「皆さんはどうしたいですか?」とは尋ねず、「ご本人はこのように死にたいと仰っていました」と話すのだそうです。

「皆さんはどうしたいですか?」と尋ねれば、家族はやはり「できるだけのことをしてください」と言わざるを得ません。しかし「本人の意思はこうです」と言ってもらえれば、それを尊重したいという気持ちになるでしょう。


死期を迎えた人に対し過剰なまでの医療を施してしまう原因の1つは、家族にしても医療者にしても死の決断をしたくない、という心理があるのだと思います。

しかし下河原さんは死を忌み嫌わず、真正面から、しかしサラリと明るくさえある向きあい方をしています。だからこそ入居者の本音を聞き出すことができ、いざという時に本人の意思を代弁することができるのでしょう。

個性的な取り組みに注目が集まっていますが、私はこの「死の決断を支える」ことが下河原さんの取り組みの骨子になっているのではないか、そう感じました。

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