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亡き人との対話 [その他色々]

お手伝いをしているお寺の、とあるご法事。
お施主さんは年配のご婦人で、30年ほど前に壮年で亡くなったご主人と、20年ほど前に亡くなった義父の法要でした。

参列者は施主と同世代と子世代、あと小さいお子さんたちは孫世代でしょう。けっこうな大人数で、またお子さんが多いので、賑やかな雰囲気の法要になりました。
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読経をする中で、勝手な想像がふくらみました。
ご主人が亡くなった時、お子さんたちはまだ学生だったでしょう。
悲しみにひたる間もないほど大変な日々を送られたのではないか、またそんな中で義父も看取られたのではないか…(お経を読みながら余計なことを考えているのがバレますが (^_^;)  )。

お経を終えてご法話をしていると、お施主さんのホッとしたような、晴れやかな表情が目に入りました。
そこでふと、カウンセリングで用いられる「エンプティ・チェア」を思い出し、お施主さんに「亡きご主人に何か言えるとしたら、なんてお伝えしたいですか?」と尋ねました。

お施主さんは一瞬不意をつかれたような表情をしましたが、すぐに穏やかな笑顔になり、「見守ってくれたおかげで、なんとかここまでやってこられました」と応えてくれました。

さらに「亡きご主人は、どんな言葉を返してくれると思いますか?」と尋ねると、いっそう晴れやかな、それでいて少しはにかんだような表情で「まあ…よくやったなと言ってくれると思います」とお応えくださいました。


私は、「そうですね、私もご主人やお義父さん、仏さまになった方たちは『よく頑張ってくれた、苦労をかけて申しわけなかった、有り難う』と言ってくださると思います」と応えました。
ご婦人は晴れやかな笑顔のまま、目の端にわずかに光るものがありました。


感応道交(かんのうどうこう)という言葉があります。
仏さまと人との気持ちが通じ合う、という意味です。

普段は忙しく過ごし、なかなか亡き人のことをゆっくりと想う時間は取れないかもしれません。けれどご法事の場ではお身内が一緒に手を合わせ、亡き方を偲びます。

そして私のとっさの思いつきではありましたが、亡き方にどんな言葉を伝えたいですか? それに対し亡き方はどう応えてくれるでしょうか? と問いかけることで、参列者皆さんがそれぞれに深く亡き方を想ったことでしょう。

亡き方との対話を考えることで、亡き方と確かに心の通じ合う感応道交の時間を持てたのではないか。
そう感じるご法事になりました。

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