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2019年6月号 [和庵だより]

◇ 時代はめぐる ◇

平成の時代が終わり、新しく令和の世が始まりました。
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昭和から平成の時は天皇陛下の崩御とともに、でしたのでお祝いの雰囲気ではありませんでしたが、今回は10日間もの連休(お寺は休めませんが…)とも相まって祝賀ムードに包まれました。テレビを見ていると、大晦日のように蕎麦を食べつつ5月1日を迎える方もいらして、外国の方にはなかなか理解しにくいだろうな、と感じました。

外国といえば、世界規模でのやりとりは国際暦(西暦)を使うのでしょうが、あちこちで固有の暦が使われています。なごみ庵だよりの右上にも西暦とともに「仏暦」が記してありますが、これはお釈迦さまが亡くなったとされる年(または翌年)を元年としており、東南アジアの仏教国では公的に使用されているようです。

西暦と仏暦とあってややこしく感じますが、日本の元号は天皇陛下の代替わりとともに変わりますので、ややこしさは仏暦の比ではありません。令和元年は平成だと31年、昭和だと94年、大正だと108年、明治だと152年になります。過去帳や位牌などは元号で記録するので法事の年数を数えるのが非常に大変です。

日本もいっそ西暦だけにという意見もあって、それはとても便利なのでしょうが、何か味気ないような気もします。そう感じてしまうのは「古い」とされるのかもしれませんが、昭和生まれの私はすでに3つ目の元号ですので、古くて当たりまえなのかもしれません。

仏教も2500年を超えて続いているので「古い」どころではありませんが、その教えは決して色あせずに必要とされ続けています。お寺としては「新しい」なごみ庵も、この「古い」教えを令和の世でもしっかり伝え続けていきたいと思っています。


◎ お 知 ら せ ◎

◎おてランチ 〜語らい&味わい〜 6月4日(火)11時より 参加費1000円
語らいと食事を楽しむひと時、「おてランチ」。
最近あった楽しいことや悲しいこと、驚いたことなどを話したり耳を傾けたりして、その後は皆さんで美味しいカレーをいただきます。どうぞお気軽にご参加ください!
準備の都合上、出欠のお知らせをお願いします。

◎高座バトル★ルーキーズ 6月8日(土)16時〜17時30分 チケット3000円
会場:恵比寿 寺子屋ブッダ・書坊にて(東京都渋谷区東3−23−3 恵比寿駅 徒歩4分)
2016年11月に住職が出演させていただいた高座バトル(中目黒 正覚寺)。
同じ「お題」で落語家さんと僧侶が話の共演をするという人気イベントですが、今回は恵比寿の寺子屋ブッダ・書坊さんで開催されることになりました。
住職の対戦相手は落語家の春風亭昇々さん(とってもイケメン)、お題は未定。
インターネット検索で申し込めますが、苦手な方はお寺までご連絡ください。
定員は少なめの30名ですので、お早めのお申し込みをお願いします。
https://shobo190608.peatix.com/

◎お盆のご案内 7月は14日(日)、8月は11日(日)に法要をいたします。
暑い季節ですので、両月とも10時30分からの法要です。
同封の法名(戒名)用紙をご利用ください。欠席の場合は、ご縁の方の法名やお名前をお書きいただき、FAXやメールなどでお送りください。

◦神之木地区センター写経会 6月4日(火)・18日(火) 18時30分
◦死の体験旅行 6月19日(水) 19時 豊島区 金剛院
        9月26日(木) 18時30分 神奈川大学 生涯学習講座
◦自死遺族の集い 5月23日(木)・6月27日(木) 10時30分 築地本願寺にて

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2019年5月号 [和庵だより]

◇ 還る場所 ◇

また1人、恩師がこの世の縁を終え、浄土にお還りになりました。
16年前、私が築地本願寺の東京仏教学院で学んでいた際、「伝道と教養」という数人のご講師が順に講義をされる授業があり、最初のS先生からは「都市開教」について教わりました。文字通り都市部で新しく寺院を開く活動についての授業で、新しくお寺を開くなんてことができるんだ! と非常に驚いた記憶があります。後にそのS先生から個人的に都市開教について詳しくご指導いただき、徐々に構想を練っていきました。

2人目のご講師が、今回お亡くなりになったT先生です。第一印象は、なんとも大らかな方だなぁ、というもの。聞くと北海道のお寺のご出身で、若い頃は海外開教使としてカナダで仏教を広めていたとのこと。北海道もカナダも大地が広い土地柄です。広い土地で育まれた人は、心も大らかになるのだな、と感じたことを覚えています。お寺に伺うと、関西出身の明るい坊守さまと一緒に迎えてくださり、お二人の人柄が醸し出す居心地の良さを感じました。

最初のS先生から都市開教について色々と伺ったものの、なかなか踏ん切りはつきません。その時にT先生のお寺を尋ね相談すると、「どちらにしても住まいを借りるんだから、ちょっと頑張って借家を借りて、一室を本堂にしてみたらいいじゃない。それでダメだったら場所を移っても、やめてもいいんだし」と朗らかに言葉をかけていただき、悩みがスコーンと突き抜けたように感じ、布教所を開く決心がつきました。

T先生のお寺は「奏庵(かなであん)」。音楽が好きで「奏でる」と、カナダにご縁があったので「カナディアン」とかかっていて洒落ています。それにならい私たちも「なごみ庵」と名付けました。最近はお目にかかる機会がなかなか無いままの別れになったことが悔やまれますが、私もいつか浄土に還った時、しっかりお礼とご報告をさせていただこうと憶念しています。


◎ お 知 ら せ ◎

◎お芝居『脚光を浴びない女』4月17日(水)〜24日(水)下北沢ザ・スズナリ
坊守出演のお芝居『脚光を浴びない女』、4月21日の観覧ツアーは満席になりましたが、別の日はまだ空きがある回もあります。ご希望の方はお寺までお申し込みください。

◎寺社フェス「向源」 5月4日(土)・5日(日)目黒 五百羅漢寺・蟠龍寺
毎年ゴールデンウィークに開催される寺社フェス「向源」ですが、今年は5月4日・5日に
目黒の2つのお寺で開催されます。詳細は「向源」で検索ください。

◎三浦霊園 合同墓 倶生の碑 合同参拝バスツアー 5月15日(水)9時30分 東白楽駅集合
今年も気候が良いであろう5月の中旬に、合同墓のお参りに出かけます。
まだお席に空きがありますので、ご希望の方はどうぞお問い合わせください。

◎高座バトル 6月8日(土)16時 恵比寿 寺子屋ブッダ 書坊にて
2016年11月に住職が主演させていただいた、高座バトル(中目黒 正覚寺)。同じテーマで落語家さんと僧侶が話の共演をするという人気イベントですが、今回は恵比寿の寺子屋ブッダラボ・書坊さんで開催されることになりました。住職の対戦相手(?)やテーマなど、詳細は次号以降でお知らせいたします。

◎お盆のご案内 7月は14日(日)、8月は11日(日)に法要をいたします。
詳細は次号でお知らせいたします。

◦神之木地区センター写経会 5月7日(火)・21日(火) 18時30分
◦死の体験旅行
5月29日(水) 19時 豊島区 金剛院
5月23日(満席)・9月26日(木) 18時30分 神奈川大学 生涯学習講座
◦自死遺族の集い 4月25日(木)・5月23日(木) 10時30分 築地本願寺にて

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2019年4月号 [和庵だより]

◇ 3.11から8年 ◇

自分自身の生や死について深く考えるワークショップ(体験学習)「死の体験旅行」は、毎月池袋の真言宗 金剛院さまをお借りして開催させていただいています。その日程を決める時、3月はあえて11日にしました。そう、東日本大震災の日です。

以前は死の話題は「縁起でもない」と避けられるものでした(ちなみに「縁起」本来の意味は、全ての事象には原因と条件があって結果が出る、というものです)。しかしあの大震災があって、死の話題をしようが避けようが、いつ突然にそれはやってくるのか分からない。ならば時には考えておかなくてはならない。日本人の多くがそう考えるようになったのだと思いますし、だからこそ「終活」という言葉も一般に広まりました。

また、メディアでも「死」はよく取り上げられるようになりました。「死の体験旅行」もやはり3.11の影響か取材も多く、3月5日発売のサンデー毎日、3月11日放送のNHKひるまえほっと、3月16日発売のDIMEと続きました。

仏教は最初の段階から、死から目を背けず見つめなさい、と説いてきました。なにしろお釈迦さまご自身の出家の動機のひとつは、葬列を目にしたことだと言われています。そして…
・明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかわ(親鸞聖人)
・まずは臨終のことを習うて、後に他事を習うべし(日蓮聖人)
・朝には紅顔ありて、夕べには白骨となれる身なり(蓮如上人)
・生のみが我らにあらず、死もまた我らなり(清沢満之)
などなど、僧侶の死に関する言葉は数多くあります。いえ、仏教だけでなく、ありとあらゆる宗教・哲学で「死」を問題にしているのです。皆さんも「縁起でもない」と避けず、時にはじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。


◎ お 知 ら せ ◎

◎春のお彼岸法要 〜親と子の読み聞かせ 絵本に学ぶ仏さまの教え〜
3月17日(日)13時より なごみ庵
お彼岸法要では、読経の後、坊守による絵本の朗読があり、続けてその絵本の内容に関する法話をいたします。どうぞお子さんやお孫さんもお連れになり、ご参加ください。
なお、茶話会のお菓子の準備などもありますので、できるだけ出欠と人数をお知らせいただければ有り難いです。

◎観劇ツアー『脚光を浴びない女』 4月21日(日)14時 下北沢ザ・スズナリ
坊守出演のお芝居『脚光を浴びない女』、一緒に観に行きませんか? ツアー日のほか、4月17日(水)〜24日(木)まで公演があります。お寺までお申し込みください。

◎寺社フェス「向源」 5月4日(土)・5日(日)目黒 五百羅漢寺・蟠龍寺
毎年ゴールデンウィークに開催される寺社フェス「向源」ですが、今年は5月4日・5日に目黒の2つのお寺で開催されます。詳細は「向源」で検索ください。
会場の1つである五百羅漢寺は、平成27年10月の合同バス旅行で訪れた、特徴的な本堂のお寺です。またもう1つの蟠龍寺は、山手七福神の弁財天が祀られています。

◎三浦霊園 合同墓 倶生の碑 合同参拝バスツアー 5月15日(水)
今年も気候が良いであろう5月の中旬に、合同墓のお参りに出かけます。
詳細は別紙をご覧ください。

◦神之木地区センター写経会 4月2日(火)・16日(火) 18時30分
◦死の体験旅行
 4月22日(月) 19時 豊島区 金剛院
 5月23日(木)・9月26日(木) 18時30分 神奈川大学生涯学習講座
◦自死遺族の集い 3月28日(木)・4月25日(木) 10時30分 築地本願寺にて

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2019年3月号 [和庵だより]

◇ 七回忌 ◇

1月の末、長崎は島原まで行ってまいりました。
50歳の若さで亡くなった先輩僧侶の七回忌法要です。
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とても慕われていた方で、全国の僧侶7名でお参りに伺いました。

2日間の法要にはご家族や檀信徒さんたちがお集まりになり、伝道を大切にしていた先輩を偲び、7名の僧侶全員が20分ずつリレー法話をさせていただいたのです。


話は少し遡りますが、2012年12月の報恩講は、なごみ庵のご本尊の入仏法要を兼ねた大切なご縁でした。この時にご法話をいただいたのが、この先輩僧侶でした。余命を宣告されている状態で治療のために上京していたので、急遽お願いをしたのです。

「皆さま、長崎からまいりました○○と申します。皆さんとお会いできるのは、今生でこれが最期になると思います」と口を開くと、状況をご存知ない皆さんは一瞬きょとんとされます。続けてご本人の口から事情が説明されると、その場は緊張感に包まれました。

日本はまだまだ遅れていますが、世界各国の病院では宗教者が、患者の苦悩に耳を傾けるために職員として出入りしています。先輩僧侶は日本での先駆者として、ご自身もがんに蝕まれながら、九州の病院で中学2年生の女性がん患者を担当することになりました。

何度も訪問を重ね、そして最期の面会の際、彼女から「○○さん、先に往ってるね」と声を掛けられたことを声を震わせながらお話しになり、お堂にはすすり泣きの声が静かに響きました。

先輩は最後、こう私たちに問いかけてくださいました。大切な問いであると思います。皆さんも一緒にお考えになっていただければ、有り難く存じます。

「自分がどこから来て、どこに還っていくのか。何者であるのか、何のために生きているのか、何を大事に生きているのだろうか。そういったことを半年に1回、いえ、年に1回でも結構です。1人になって、自分自身に問いかけてみてください」


◎ お 知 ら せ ◎

◎春のお彼岸法要 〜親と子の読み聞かせ 絵本に学ぶ仏さまの教え〜
3月17日(日)13時より なごみ庵
お彼岸法要では、読経の後、坊守による絵本の朗読があり、続けてその絵本の内容に関する法話をいたします。どうぞお子さんやお孫さんもお連れになり、ご参加ください。
なお、茶話会のお菓子の準備などもありますので、できるだけ出欠と人数をお知らせいただければ有り難いです。

◎観劇ツアー『脚光を浴びない女』 4月21日(日)14時 下北沢ザ・スズナリ
坊守出演のお芝居『脚光を浴びない女』、一緒に観に行きませんか?
詳細は別紙の通りですが、4月17日(水)〜24日(木)まで公演があります。

◎寺社フェス「向源」 5月4日(土)・5日(日)目黒 五百羅漢寺・蟠龍寺
毎年ゴールデンウィークに開催される寺社フェス「向源」ですが、今年は5月4日・5日に
目黒の2つのお寺で開催されます。詳細は「向源」で検索ください。
会場の1つである五百羅漢寺は、平成27年10月の合同バス旅行で訪れた、特徴的な本堂のお寺です。またもう1つの蟠龍寺は、山手七福神の弁財天が祀られています。

◎三浦霊園 合同墓 倶生の碑 合同参拝バスツアー 5月15日(水)
今年も気候が良いであろう5月の中旬、15日にご希望の皆さんと合同参拝に出かけます。
詳細は次号でお知らせいたします。

◦神之木地区センター写経会 3月5日(火)・19日(火) 18時30分より
◦死の体験旅行 3月11日(土) 19時 豊島区 金剛院 / 3月23日(土) 14時 なごみ庵
◦自死遺族の集い 2月28日(木)・3月28日(木) 10時30分 築地本願寺にて

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2019年2月号 [和庵だより]

◇ 聖なる歌 ◇

昨年12月23日、代官山ノエルというクリスマスイベントに協力をしてきました…と書くと私が宗旨替えをしたかと驚かれるかもしれませんが(笑)、もちろんそうではありません。超宗派の仲間の僧侶と共に、プロテスタントの本多記念教会を中心とした行事に参加をしたのです。

まずは「牧師さん&お坊さんと話そう」というコーナー。普段なかなか接する機会のない僧侶や、それ以上に見かける機会の少ない牧師さんと話ができるというもの。雑談だったり、質問だったり、真剣な悩みだったり、色々な方がいらっしゃいます。私も、これからの進路に悩む青年の言葉に耳を傾けさせていただきました。

そして楽しみだったのは、無数のキャンドルでライトアップされた教会での声明公演。声明(しょうみょう)とは歌のようなお経のことで、幻想的な雰囲気の中、僧侶5名による誦経の声が響き渡りました。
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イベントの最後は、屋外でのゴスペル&読経の公演。寒い中ですがライトアップされた広場に、多くの人だかりの輪が広がります。そこでまず、僧侶たちによる声明で厳粛な雰囲気が作り出され、続く地元高校のブラスバンド演奏で徐々に場は盛り上がっていきます。そして大人数のゴスペル隊が登場し、「Oh happy day」など耳にしたことがある曲を、体を揺らし、手拍子と共に歌います。僧侶たちも思わずノって手拍子を叩きながら、私は『天使にラブソングを』という映画が好きだったことを思い出しました。

教会であってもお寺であっても、そこは厳粛な宗教的空間です。しかし厳粛なだけではなく、時には楽しみを共有する機会も大切なのだな…と、2つの聖なる歌が響く夜空の下、ヒントを頂けたような気持ちになりました。


◎ お 知 ら せ ◎

◎春のお彼岸法要 〜親と子の読み聞かせ 絵本に学ぶ仏さまの教え〜
3月17日(日)13時より なごみ庵にて

お彼岸法要では、読経の後、坊守による絵本の朗読があり、続けてその絵本の内容に関する法話をいたします。
今回選ばれた『おじいさんなら できる』は、おじいさんが大好きな孫の少年と、手先が器用で手芸が得意なおじいさんの、心暖まる可愛らしいストーリーです。
どうぞお子さんやお孫さんもお連れになり、ご参加ください。

なお、茶話会のお菓子の準備などもありますので、できるだけ出欠と人数をお知らせいただければ有り難いです。
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◎寺社フェス「向源」 5月4日(土)・5日(日)目黒 五百羅漢寺・蟠龍寺にて
毎年ゴールデンウィークに開催される寺社フェス「向源」ですが、今年は5月4日・5日に目黒の2つのお寺で開催されます。
会場の1つである五百羅漢寺は、平成27年10月の合同バス旅行で訪れた、特徴的な本堂のお寺です。
またもう1つの蟠龍寺は、山手七福神の弁財天が祀られています。

◎三浦霊園 合同墓 倶生の碑 合同参拝バスツアー 5月15日(水)
今年も気候が良いであろう5月の中旬、15日にご希望の皆さんと合同参拝に出かけます。
詳細は次号以降でお知らせいたします。

◦神之木地区センター写経会 2月5日(火)・19日(火) 18時30分よ
◦死の体験旅行 2月23日(土) 18時 豊島区 金剛院 / なごみ庵 2月9日 満席
◦自死遺族の集い 1月24日(木)・2月28日(木) 10時30分 築地本願寺にて

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2019年1月号 [和庵だより]

◇ 2018年の漢字 ◇
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毎年、京都の清水寺の貫主さまが揮毫される今年の漢字が「災」になりました。たしかに災害が多い年でしたが、なにもそんな字を選ばなくても…と思ったものの、公募で決まった字が書かれるそうなので、貫主さまも仕方なく書かれたのでしょうね。

起こってしまった災害を無かったことにはできませんが、せめて元号も新しくなる2019年は「災い転じて福となす」という一年になってほしいと願うばかりです。ですがこの「福」というのも、なかなか難しいものがあります。なぜなら、福・幸せとは他者と比較の上に、相対的に成り立つものだからです。


人間の幸福感の研究によると、人は最低限の衣食住が満たされると大きな幸福感を感じるが、その衣食住が高価になることで得られる幸福感は小さいのだそうです。

例にあげられていたのは、アメリカの中間層(立派なマイホーム)とインドの人力車引き(壁がビニールシートの簡素な家)でしたが、両者が感じる「幸福度」は同等でした。


現代の私たちの生活と、親鸞聖人の生きた平安鎌倉時代を比べれば、アメリカとインドより差は大きくなります。電気はある、エアコンはある、車も飛行機もある。昔と比べれば現代人は夢のような豊かで便利な生活をしています。しかし誰もが幸福感に充ち満ちて生きているわけではないことは、皆さんもご承知の通りかと思います。

この先、どれだけ医学や科学が発展しても、物質的な充足を追い求める方向性では幸福感が満たされきることは無いでしょう。仏教で説かれる「足るを知る」「己を知る」道、つまり精神的な充足を求めることこそが、「災い転じて福となす」への近道になるのではないでしょうか。



◎ お 知 ら せ ◎

◎自死者追悼法要「いのちの日 いのちの時間 東京」無事終了しました
毎年12月1日に築地本願寺で行われる大法要、今年は過去最多の200名以上のご遺族が参集し、厳かに法要が執り行われました。

◎なごみ庵 報恩講法要 無事終了しました
参加者が大勢となったため、東神奈川の会議室をお借りして無事に開催いたしました。

◎代官山ノエル「お坊さん・牧師さんと話そう」協力 12月23日(日)13時〜
代官山の本多記念教会(キリスト教)主催で行われるクリスマスイベント「代官山ノエル」に協力します。正確には人種や宗教を越えたイベントとのことですが、「ノエル」という言葉そのものが「クリスマス」を意味し、主催も教会になっています。

私はヒルサイドプラザという場所で「お坊さん・牧師さんと話そう」というブースにおります。また15時と18時にはゴスペルや声明(歌のお経)のコンサートもあります。
街を上げての華やかなイベントですので、お時間のある方はぜひ遊びにいらしてください。

◎二歳参り 12月31日(月)22時ごろより
今年も大みそかの夜10時ごろから「二歳参り(ふたとせまいり)」を行います。
のんびりとご歓談いただき、年越しの時間はお経とお念仏で過ごします。
準備の都合上、ご参加の方はご連絡ください。

◦神之木地区センター写経会 1月から第1火曜日・第3火曜日の月2回に戻ります。ただ1月の第1火曜日は元日ですので、第2火曜日の8日と第3火曜日の15日になります。時間は18時30分より。
◦死の体験旅行 1月16日(水)19時 豊島区 金剛院/なごみ庵 1月以降 日程未定
◦自死遺族の集い 12月27日(木)/1月24日(木) 10時30分 築地本願寺にて

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2018年12月号 [和庵だより]

◇ おてらおやつクラブ グッドデザイン大賞! ◇

お寺へのお供えものを、お子さんのいる生活困窮家庭におすそ分けし支える活動、「おてらおやつクラブ」が、なんとグッドデザイン賞、しかも最優秀である「大賞」を受賞しました!
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グッドデザイン賞といえば、優れたデザインの製品に送られる歴史ある賞、という認識でしたが、ここに「おてらおやつクラブ」が応募をしたと聞いた時には、頭の中に?マークが浮かびました。よくよく聞くと形のある製品だけでなく、優れたデザインの「仕組み・活動」も選考対象なのだそうです。

今年度の応募総数は4789件。その中から1353件がグッドデザイン賞を受賞し、さらにそこからベスト100が選ばれますが、「おてらおやつクラブ」はそこに残っていました。

特別賞や大賞が東京ミッドタウンで発表されることになり、私も足を運びました。様々な特別賞が発表される中、なんと大賞候補のベスト6に残っています! 他の候補はソニーの犬型ロボットAIBOや富士フイルムのポータブルレントゲンなど、一流企業の渾身の製品が並びます。

そして……「大賞は、『おてらおやつクラブ』!」
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会場に集まった報道陣は「まさかお坊さんが!?」とどよめき、そこに居合わせた私たち僧侶も完全に浮き足立ちました(笑)。大賞をお坊さんが取るのはもちろん初、製品でない仕組み・活動が取るのも初、企業ではなくNPOが取るのも初という、異例の初物づくしだったそうです。

大きな賞を取っても活動内容が変わるわけではありません。なごみ庵もこれまで通り、毎月第2水曜日に神奈川区の社会福祉協議会にお菓子をお持ちしてまいります。お供えはなるべく日持ちの良い、個包装のものをお願いします。


◎ お 知 ら せ ◎

◎おてランチ 〜語らい&味わい〜 11月20日(火)11時より 参加費1000円
「ひとり暮らしの会」の名称を変え「おてランチ」といたしました。
語らいと食事を楽しむひと時、どうぞご参加ください。
準備の都合上、参加の人数をお知らせください。

◎自死・自殺に向き合う僧侶の会 自死者追悼法要 12月1日(土) 築地本願寺にて
例年どおり、自死者追悼法要を開催いたします。詳細はどうぞお尋ねください。

◎なごみ庵 報恩講法要 12月9日(日)13時より ※別会場にて ※要申し込み
お申し込みの人数が、コンパクトな当庵に入りきれない数になりましたので、今年は別会場での開催となります。

◎死の体験旅行 in なごみ庵 12月24日(月・祝日)14時より 受講費3000円
今まで平日夜に池袋の寺院で開催してきましたが、各方面から要望を頂き、なごみ庵でも今後開催していくこととなりました。定員9名、要予約になります。

◎二歳参り 12月31日(月)22時より
今年も大みそかの夜10時から、「二歳参り(ふたとせまいり)」を行います。
のんびりとご歓談いただき、年越しの時間はお経とお念仏で過ごします。

◦神之木地区センター写経会 12月4日(火)18時30分
◦神之木地区センター笑いヨガ 12月10日(月)10時30分
◦死の体験旅行 12月12日(水)19時 豊島区 金剛院/12月24日(月・祝日)14時 なごみ庵
◦自死遺族の集い 11月22日(木)/12月27日(木) 10時30分 築地本願寺にて

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2018年11月号 [和庵だより]

◇ 青森、恐山 ◇

私が会長を務めさせて頂いている「未来の住職塾サンガ」では、毎年秋に研修旅行をしています。宗派・地域を越えた僧侶の集まりなので、行く先の提案も様々ですが、今年は僧侶でもあまり行ったことがない青森の恐山。日本有数の霊場としてよく知られています。

実は恐山は曹洞宗の「菩提寺」という名称のお寺です。その境内はあちこちから噴出する火山ガスによって草木がまばらで、荒涼としたガレキが広がる異世界の雰囲気を醸し出しています。そこに抱えきれない死別悲歎や民間信仰を持つ人たちが訪れ、思い思いに供養をしているのです。

恐山菩提寺の院代は、ご高名を轟かせる南 直哉(みなみ じきさい)師。南師のご講演と恐山境内の拝観に、全国から40名近い僧侶や寺族が集まり、濃密な2日間を過ごしました。

何よりも印象深かったのは、境内や堂内にあふれる「亡き方への供養」の気配です。衣服などの遺品や持ち込まれたお地蔵さま、無数の花嫁人形など、お寺の法事では収めきることができなかった強い故人への思い。その思いが生々しく山内に充ち満ちているのです。

浄土真宗では「亡き方は仏さまになっていますよ、だからお供え物をして養ってあげる必要はありません。恭敬(くぎょう)、つまり恭しく敬うのが大切ですよ」と説きます。しかし恐山の光景を見ると、宗派の教義という器に収まりきらない遺族の思いがあり、それがあふれかえって恐山に流れ込んでいる。供養したいという気持ちをないがしろにしてはいけない、改めてそう感じずにはいられませんでした。

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(火山ガスが立ちこめ風の強い恐山では、生花の代わりに風車が供えられ、カラカラと音を立てて回り続けています)


◎ お 知 ら せ   ◇ ご 報 告

◎NHK Eテレ「あしたも晴れ! 人生レシピ」
 10月26日(金)20時より
「死の体験旅行」や、なごみ庵写経会を取材していただきました。カットにならなければ番組内で紹介される予定です、ぜひご覧ください。
再放送は11月2日(金)11時。

◎コラボ企画「仏教甘味と共に味わう 死の体験旅行」
 11月10日(土)13時より
港区芝の仏教伝道協会でコラボ企画が開催されます。虎ノ門 光明寺のスイーツ僧侶として名高い木原祐健さんが作る仏教にまつわる甘味と「死の体験旅行」を共に体験します

◎おてランチ 〜語らい&味わい〜
 11月20日(火)11時より 参加費1000円
「ひとり暮らしの会」の名称を変え「おてランチ」といたしました。語らいと食事を楽しむひと時、どうぞご参加ください。準備の都合上、参加の人数をお知らせください。

◎死の体験旅行 in なごみ庵
 11月23日(金・祝日)14時より 受講費3000円
今まで平日夜に池袋の寺院で開催してきましたが、各方面から要望を頂き、なごみ庵でも今後開催していくこととなりました。定員10名、要予約になります。

◎自死・自殺に向き合う僧侶の会 自死者追悼法要
 12月1日(土) 築地本願寺にて
例年どおり、自死者追悼法要を開催いたします。詳細はどうぞお尋ねください。

◎なごみ庵 報恩講法要 12月9日(日)13時より

◦神之木地区センター写経会 11月6日(火)18時30分
◦神之木地区センター笑いヨガ 11月12日(月)10時30分(12月まで毎月第2月曜)
◦死の体験旅行 11月14日(水)19時 豊島区 金剛院/11月23日(金・祝日)14時 なごみ庵
◦自死遺族の集い 11月22日(木)10時30分 築地本願寺

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2018年10月号 [和庵だより]

◇ LとかGとかBとかTとか ◇

 以前「自然界は弱肉強食なのに、人間は弱者を生かしているのは何故か」という問いがあり、それに対する見事な回答記事を目にしました。

要約すると「人間は皆、自然界では弱者だが、社会を作り上げ、より弱い存在をも守り生かしていくことが人間の人間たる所以である」といったものです。
文明の発達とともに、弱い者や少数派を抱える余裕を持つことが、いつ自分や家族がその立場になるか分からない、と予想することができる人間の生存戦略だということでしょう。

 少数派といえば、最近ではLGBTという言葉が話題になっています。芸能界では、古くは美輪明宏さんやカルーセル麻紀さん、最近ではマツコ・デラックスさんやIKKOさんなど活躍されているかたが多いですが、実社会ではまだまだ偏見・蔑視が根強い状況です。

 ある調査によるとLGBTは約8%。左利きや血液AB型と同程度の割合でいらっしゃるのだそうです。「えっ、私の回りには1人もいない」と思われるかたも多いと思いますが、まだまだ差別や偏見を恐れて隠している場合が多いのでしょう。

また、「LGBT」だけでは多様な「あり方」を表せないことから、最近では「LGBTs」という表現もなされています。

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 実は最近、オカマ(本人自称)のBSディム(ペンネーム)というかたとご縁がありました。
ディムさんはインターネット上で悩み相談を受けており、それが好評で書籍化することに。その書籍の目玉として、いつもは相談を受けている筆者が逆に僧侶に相談するという企画が持ち上がり、その相手として選んでいただいのです。
私もあまりLGBTに関する知識が無かったのですが、これを機会に色々勉強することができ、有り難く面白いご縁でした。

 『しんどいオカマのちょっと一杯いかがかしら』というユニークなタイトルで、角川書店から9月28日発売です。巻末に私との対談が掲載されていますので、ご興味のあるかたはぜひ手に取っていただければ幸いです。


◎ お 知 ら せ & ◇ ご 報 告


◎バス旅行の中止と写経会開催 10月19日(金)
毎年秋のバスツアーですが、今年は残念ながら中止となりました。
そのため10月の写経会は、通常通り10時30分から開催いたします。

◎いきもの追悼法要 なごみ庵にて 10月21日(日)13時より
今年からペットの追悼法要をお勤めいたします。

◎NHK Eテレ「あしたも晴れ! 人生レシピ」10月26日(金)20時より
「死の体験旅行」や、なごみ庵写経会を取材していただきました。
カットにならなければ番組内で紹介される予定です、ぜひご覧ください。
再放送は11月2日(金)11時。

◎コラボ企画「仏教甘味と共に味わう 死の体験旅行」11月10日(土)13時より
東京都港区芝の仏教伝道協会で、コラボ企画が開催されます。
虎ノ門の光明寺に勤め、スイーツ僧侶として名高い木原祐健さんが作る、仏教にまつわる
甘味、そして「死の体験旅行」を共に体験します。

自死・自殺に向き合う僧侶の会 自死者追悼法要 12月1日(土) 築地本願寺
例年どおり、自死者追悼法要を開催いたします。詳細はどうぞお尋ねください。

◎なごみ庵 報恩講法要 12月9日(日)13時より
今年の報恩講のご講師は、テレビでよく見るあのお坊さん! 詳細は次号でお知らせします。

◦神之木地区センター写経会  10月2日(火)18時30分
◦神之木地区センター笑いヨガ 10月8日(月)10時30分(12月まで毎月第2月曜)
◦死の体験旅行  10月15日(月)19時 豊島区 金剛院
◦自死遺族の集い 10月25日(木)10時30分 築地本願寺

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2018年9月号 [和庵だより]

◇ 平成最後の夏 ◇

最近はひんぱんに「異常気象」という言葉を聞くようになって、これだけ多いと本当に「常とは異なる」なのかどうか分からなくなってしまいます。

僧侶の立場で感じることは、やはり葬儀の多さです。特に手伝っているお寺では、早くからの猛暑がひと段落した8月に入ってから増えました。疲労の蓄積が間を置いて表面化しているようですので、皆さまも9月に入ったからと安心せず、どうぞ体調管理にお気をつけください。


「常と異なる」体験といえば、7月末に友人僧侶と共に、演劇に出演させて頂くご縁がありました。
劇作家の別役実さん作『雰囲気のある死体』は病院が舞台のブラックユーモア作品。1970〜80年代に書かれたもののようで、病室でタバコを吸うのがOKだったりナースステーションが「看護婦詰所」と呼ばれていたりするのが時代を感じます。
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物語は、患者の増加で地下に急きょ作られた病室に入院患者が入ってくるシーンから始まります。しかしその病室の隣が霊安室だったのが騒動の原因で、個性的な登場人物が次々と現れたり、患者と遺体を取り違えたりと、ドタバタ劇が巻き起こります。

私は霊安室で読経(実際には無い状況ですが)するために病院にやってきた僧侶という役柄で、ラストシーンでは舞台上に1人取り残され、ご遺体に向かってお経をとなえ、幕が下ります。

この依頼、最初はどうしようか迷ったのですが、演出家の「騒動の中で『モノ』のように扱われてしまう『死体』が、僧侶によって尊厳ある『遺体』になる、そのリアリティが欲しい」という言葉でお受けさせて頂くことを決心しました。

亡き方を懇ろに弔うことによって、その尊厳を守り、ご遺族の心にほんの少しでも安寧が生じるようお手伝いをする。お芝居を通じて、改めて葬送儀礼の大切さを思い知ることができました。


◎ お 知 ら せ & ◇ ご 報 告

◎新WS「死んでから書くエンディングノート」 9月18日(火)19時より
マンダラエンディングノートと「死の体験旅行」のコラボ企画です。
通常のエンディングノートは事務的なことについて書くものが多いですが、マンダラエンディングノートは「自分の記憶や思い」に焦点を当てるものになっています、
東京都渋谷区文化総合センター大和田の学習室2で開催いたします。

◎秋のお彼岸法要 なごみ庵にて 9月23日(日祝)10時30分より
先月お知らせの通り、法要に続き絵本『地獄』の朗読と、それにちなんだ法話をいたします。お参りや法名奉読ご希望の方は、同封のお彼岸用の法名用紙をご使用ください。

◎動物追悼法要 なごみ庵にて 10月21日(日)13時より
以前から検討していたペットの追悼法要を、今年からお勤めいたします。
10月号にお申し込み用紙を同封させていただきます。

◎コラボ企画「仏教甘味と共に味わう 死の体験旅行」 11月10日(土)13時より
東京都港区芝の仏教伝道協会で、コラボ企画が開催されます。
虎ノ門の光明寺に勤め、スイーツ僧侶として名高い木原祐健さんが作る仏教にまつわる甘味、そして「死の体験旅行」を共に体験します。
来月号にご案内を同封しますが、早めに詳細をお知りになりたい方はご連絡ください。

◦神之木地区センター写経会  9月4日(火)18時30分
◦神之木地区センター笑いヨガ 9月10日(月)10時30分(12月まで毎月第2月曜)
◦死の体験旅行  9月10日(月)19時 豊島区 金剛院
◦自死遺族の集い 9月27日(木)10時30分 築地本願寺

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