先日、祥月命日のお参りでお檀家さんのご自宅に伺った時のことです。いつもお伺いすると、お経を勤める前に話が弾むのですが、今回は心配事があって相談したい、との事。
- その他色々
何かと思って聞いていると、まず亡きご主人の遺影が出てきました。写真とガラスの間に、何かゴミか水分が入ったらしく、目の辺りが汚れてしまっています。言われてみると、涙のように見えなくもありません。
なんとなく気になっていて、たまたま占い師に写真を見てもらう機会があったのだそうです。
そこで占い師が言うには…
「亡きご主人が成仏できなくて苦しんでいるから、涙を流している」
「このまま放っておくと、悪い事がおきる。特にお孫さんに取りついて、病気になる」
「早く孫を連れてきて、お祓いを受けさせなさい。すぐに連れて来れければ、コレを買って毎日お祈りをしなさい」
などと言うのだそうです。
そんなバカなと思ってはいても、やはり気にならないはずはありません。それでお坊さんが来るので聞いてみよう、という事になったのだそうです。
何で…こんな脅し文句を並べるんでしょうね…
私は「そんな寝言は全く気にしないで結構です。亡くなった方は仏さまです。仏さまは、子孫の幸せを願いこそすれ、悪さを働くことはありません。写真は何かホコリか水分が入ったんでしょうから、気になるようだったら写真屋さんに持っていってキレイにしてもらって下さい」と言いました。
お檀家さん、明らかにホッとした様子になりました。そして、その占い師から買ったモノを出してきて「どう処分すれば?」と言うのです。
手に取ると、プリンター用の名刺用紙に何やら魔方陣のような図形が印刷され「御縁盤」と書かれ、病院の診察券のようにラミネートされています。
裏をみると「この御縁盤はお釈迦さまから授かりました」と書いてあります。
思わずポカーンとしてしまいました(苦笑)。
そして「病気とは先祖の生前の苦しみがあなたに顕れたもの」とも書いてあります。
またまたポカーンとしてしまいます。
何百年も前に言われていたような、先祖の悪い行いが子孫に祟るという間違った「業」のお話しを現代でも使っているんですね〜。
仏教は「因縁生起」を説く教えです。全てのものごとには、まず原因「因」があり、様々な条件「縁」が重なり、そして結果が「生起」してくると説かれています。非常に現実的な教えなのです。
先祖が祟るだの、お祈りしたら祟りが除かれるだの、因も縁も無視して結果だけが起こるようなことはあり得ないのです。