ふと、リンク先の記事が目に留まりました。
「若者の「大丈夫ですか?」に67歳アナは暴力性感じる」

要約すると、フリーアナウンサーの梶原しげるさんが「最近は『大丈夫ですか?』という言葉があらゆる場面で使われるが、この言葉をかけられると、大丈夫じゃなくても『大丈夫です』と答えるほかない、暴力性を孕んだ言葉である」という内容です。

「大丈夫」という言葉はよく使われがちですし、発する方は梶原さんが考えるようなことを深く思わず使っているのでしょう。少し極端なご意見な気もしますが、頷ける面も大いにあります。

私が所属する「自死・自殺に向き合う僧侶の会」で、毎年12月1日に自死者追悼法要が執り行われます。そこで毎年救護班としてお力添えを頂くのが、牧師であり医師でもあるHさん。

Hさんは毎年「具合の悪そうな人がいたら『大丈夫ですか?』と声をかけないでください」と仰います。もちろん、体調の悪そうな人を、見て見ぬふりをしろという話ではありません。

「『大丈夫ですか?』と声をかけて『ダメです』と答える人は、救急車を呼ぶようなレベルに至っている場合が多い。そこまで重い症状ではない人は『大丈夫です』と答えてしまう。
だから声かけをする時は『ちょっと救護室で休みましょう』とか『水を持ってきましょう』とか、具体的な内容を口にしなくてはいけない」ということなのです。

それ以来、私も日常的に「大丈夫ですか?」という言葉を使わず、体調の悪そうな方、困っていそうな方には具体的に声をかけるようにしています。しかしそう意識していても咄嗟に出てきそうになることもありますから、よっぽど染みついているのでしょう。


他にも私たちに染みついている言葉は「頑張って」です。
もちろん、頑張る余力のある人、応援を力に変えられる人に言う分には問題ありません。
しかし心身に不調を抱えている人、特にうつ病などの方にこの言葉をかけると「今でも必死に頑張っていて、それでも結果が出ない…あなたの『頑張って』という言葉は、自分の今までの頑張りを否定しているように聞こえる…」と受け止められてしまう可能性が高いのです。
ですので時と場合に応じて控えるべき言葉であり、このことはかなり広まってきました。


「頑張って」も「大丈夫?」も使いやすい言葉ですし、口にする側に悪意なんてありません。
けれど、相手に対する応援や善意が、悪く受け止められたり空回りしないためにも、アタマをもうひと回転させ相手に寄り添う言葉を選びたいものです。