とは言っても、全ての僧侶が厳格に戒律を守っていたわけではなく、隠れて恋人や家族を持つ僧侶もいたようです。親鸞聖人の時代、そういった行為を「せぬは仏、隠すは上人」と言いました。
そんな中、親鸞聖人は堂々と妻帯をされました。僧侶のまま、隠さずに妻を持たれたのです。仏教の歴史の中でも革命的な出来事でした。
親鸞聖人の妻帯を性欲の問題だとする意見を時々見かけます。もちろんそういった気持ちがゼロではないでしょうが、であれば前述のように隠し妻を持てば良いだけの話です。一身に非難を浴びる危険を冒してまで、僧侶の身分のまま妻を持つ必要はありませんでした。
さて、多くの方に観て頂いている「金子みすゞ ひとり舞台」ですが、十月の末に百回目の公演を迎えます。そして現在、次の演目として「恵信尼ものがたり」を稽古しています。
十二月の法話会を「報恩講法要」として、その時に皆さまの前で演じられるよう準備しております。
乞うご期待下さい!
☆仏教のことば☆
「坊守」ぼうもり
僧侶の事を「坊主」と呼ぶ事があります。あまり面と向かって呼ばれる事は無く「くそ坊主」「生臭坊主」など悪いイメージで使われるようです。
もともとは僧侶の住まいを「坊」と言い、その主を「坊主」と呼んだのです。
さて、今回の「坊守」ですが、「坊の主」が法要や布教などで留守にする時、坊を守る役割を果たす人物を「坊守」と呼びました。しかし後になって主に浄土真宗僧侶の妻を坊守と呼ぶようになりました。
恵信尼さまは上述の通り、僧侶と公に結婚をした最初の女性、つまり最初の坊守という事になります。
ちなみに他宗派では僧侶の妻を「大黒さん」と呼ぶ事があるそうです。台所の神さまが七福神の大黒さまなので「あの女性は妻ではなく台所番である」という意味合いがあるそうで、やはり仏教では「僧侶の妻」と公言するのは大変な事のようです。
さて、なごみ庵は普段私が坊主で、妻が坊守です。しかし「金子みすゞ」や「恵信尼ものがたり」では、妻が主役なので坊主になり、裏方に回る私が坊守という事になるでしょうか。
なんだかややこしいですね(笑)。