大会中に訪れた稲田の西念寺で驚くべきものを見ました。真宗の本堂は、通常中央に本尊の阿弥陀如来が安置され、右側に親鸞聖人が、左側には真宗各派の中興の祖や、各寺院の開基の絵像などが安置されるのが一般的です。しかし西念寺では左側に恵信尼さまの木像が安置されていたのです。
お寺の近くには恵信尼さまと同一人物とされる(諸説あり)玉日姫の墓所もあります。また九月には恵信尼さまの報恩講(命日を機縁とした法要)もあります。
真宗のお寺では親鸞聖人の報恩講は大切な行事として行われますが、妻である恵信尼さまの報恩講が行われるお寺を初めて知りました。
阿弥陀如来を挟んで左右に親鸞聖人・恵信尼公の木像が安置されているのを見て、改めてこのご夫婦の絆の強さを感じました。私たち夫婦も共に僧侶であり、恵信尼さまの生涯を演じてもいます。親鸞聖人ご夫妻のご生涯を範としたいと思います。
☆仏教の言葉☆
「共命鳥」(ぐみょうちょう)
「阿弥陀経」というお経に、浄土に住む共命鳥という想像上の生き物が登場します。ひとつの体にふたつの頭、鳴き声は仏の教えを歌っているのだそうです。
しかしこの鳥、人間界にいた頃は両頭の仲が悪く、片方の頭がもう片方を苦しめる為に毒の木の実を食べ、結果として両方とも死んでしまいました。
それを哀れんだ阿弥陀さま、共命鳥を浄土に生まれさせ、争う事の無益さ、愚かさを歌わせているのだそうです。
浄土での共命鳥のように、仲むつまじくふたりでお念仏の教えを弘めていらした親鸞さまご夫妻。様々な事情で晩年は離れ離れになりましたが、どれほど哀しみ深い別れであったか…と想像します。
私たちは、どんな相手とも必ず生き別れ、あるいは死に別れます。しかし共命鳥が美しくさえずるお浄土に、倶に往き倶に生まれる。私はそう信じています。
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以前から「法話会だけでなく何処かに出かけたい」と要望がありましたが、ついに企画…しようと思います。
9月23日(日)都内でランチ。その後、下北沢で坊守の出演するお芝居を観劇。詳細は次号でお知らせします。