本当の相(すがた)になる これが仏の教えの目的である
Realizing true self is the goal of the Buddha’s teaching.
暁烏 敏(あけがらす はや)

 今年のカレンダーの法語は様々な念仏者や僧侶の言葉から選ばれており、7月は明治前半〜昭和中期の真宗大谷派の僧侶、暁烏敏師の言葉です。暁烏師は石川県の出身で、同じ大谷派の清沢満之師に師事し、同じ加賀の藤原鉄乗師、高光大船師とともに「加賀の三羽烏」と呼ばれていました。

 さて、さっそく今月の言葉ですが、「本当の相になる」というのはどういうことでしょうか?
 『アナと雪の女王』という映画が流行し、その主題歌『ありのままで』も大ヒットしています。何を隠そう、私も初めて映画館でデイズニー映画を観てしまいました。

 この主題歌の歌詞の意味するところは、「強い魔力を持って生まれたために、ずっと自分を抑圧して生きてきた主人公が、その抑圧を取り払い思い通りに生きる」ということだと思います。私もこの歌が好きなのですが、反面こういう歌詞が流行るということは、それだけ「自分は抑圧されている」「私は本当の自分を生きていない」と思っている人が多いのではないかと心配になってしまいます。

 現在の自分に満足出来ず、どこかに「本当の自分」がいるのではないかと探し求めるのは、満たされない欲求を追い求め続けるようなもので、イタチごっこを続けるだけのように思います。
 今月の言葉の後半は「これが仏の教えの目的である」と書かれていますが、「これ」とは「本来の自分の姿に気付き、その姿をありのままに認める」ことでしょう。

 つまり歌詞では「ありのままの、姿見せるのよ。ありのままの自分になるの」と書かれていますが、実は「今の自分が過不足ないありのままの自分になっている」と認めるのが「仏の教え」だということではないでしょうか。