2012年2月の法語 [月々の法語]
こおりおおきに みずおおし さわりおおきに 徳おおし
More ice, morewater; More encumbrances, more virtues.
『高僧和讃』より
今年のカレンダーの言葉は、親鸞聖人の様々な著作から抜粋されています。今月は、親鸞聖人が和語で曇鸞大師を讃えた和讃です。全文は…
罪障功徳の体となる
こおりとみずのごとくにて
こおりおおきに みずおおし
さわりおおきに 徳おおし
となり、現代語訳をすると…「私どもの煩悩がつくる罪とがは、却って功徳の本体となる。丁度、氷と水の関係のようで、氷が多いとそのとけた水も多い。罪とがが多いとその転じた功徳もまた多い」となります。
ここに記される「罪」とは、法律に反したという意味の罪ではなく、私たちを悟りから遠ざける煩悩や障害を指します。そもそも仏教では煩悩を滅し、障害を乗り越えて悟りを目指すのです。しかし聖人はその罪障こそが、悟りの功徳のもとになる、と説かれているのです。
それを氷と水に譬え、冷たく凍り固まった状態を煩悩、そしてそれが溶けた水を悟りになぞらえています。そこには聖人が、20年の比叡山修行で悟りに近づく実感すら得られなかった経験、そして山を下り法然上人に教えられた念仏道を歩んで得た経験から発せられた言葉です。
つまり、どれだけ修行を積んでも煩悩を滅することが出来なかった自分に心を凍らせる。しかしその煩悩を抱えたままの自分を救うという阿弥陀仏の誓いを知り氷が溶けていったのです。
今も昔も、テレビを付けるといわゆる「オカマタレント」さんが登場します。女装家と名乗ったりオカマと名乗ったりする方、また性同一性障害という病気の方もいらっしゃいます。
以前、少年期からそういった状態になった方は、非常に精神的に成熟する、と聞いたことがあります。なぜなら、ただでさえ悩み多い思春期に「どうして自分は異性ではなく同性が好きなのだろう」という悩みを抱えて考えるからだそうです。これも悩みが昇華した例だと思います。
『親分はイエスさま』という、渡瀬恒彦さん主演の映画があります。これは、元暴力団員だった方がキリスト教に出逢い、牧師となるストーリーですが、実話が元になっています。
18歳で暴力団員となり、10年後には組長代行にまで出世(?)した彼は、しかし覚せい剤の使いすぎで暴力団からも破門され、逮捕、服役をします。
彼が服役中に思ったのは「暴力団を破門されたら、もう行き場が無い、生きる場が無い」という事。そこで聖書の中の「私は悪人が死ぬのを喜ばない。かえってその悪人がその罪を悔い改めて生きるのを私は喜ぶ」という一節に出逢い、心の底から悔い改めたそうです。
どん底まで堕ちたからこそ、聖書の教えに敏感に反応できたのでしょう。親鸞聖人は、自らを徹底的に厳しく見つめることにより、自分を最も低い所にいる人間と見、そしてそれを救うという阿弥陀仏に帰依をしたのです。
さて、元暴力団員の彼はその後牧師となり、埼玉県で開いている教会の名は「罪人の友」。そういった経緯からか、前科のある方や、家族に服役者のある方などが教会を訪れる場合が多いそうです。
私であったらどうだろうか、と思います。私は今のところ運良く、逮捕をされるような経験をしていません。心が清く正しいからではなく、それほどの度胸も根性も持ち合わせていなかったからです。
それでももし、前科のある方などがなごみ庵を訪れてきたらどうするか。表面ではこころよく受け容れているように振る舞いながら、心の底からそれが出来る自信はありません。
>ボーズ様
>『親分はイエスさま』
似たような方だと、この方もそうですね。
http://3x-nen.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19
>セクシャルマイノリティ
この方、ご存じでしょうか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%BA%95%E7%A5%A5
この方の著書をブックオフの100均から「布教活動用」
にサルベージしてあります。
そのうちにお送りさせていただきますので、気長にお待ちくださいませ。
>訪れてきたらどうするか。
これは宗教者としてのジレンマですよね。
私自身、バイクのヘルメットを自宅の車庫から昨日盗まれた
ばかりなので、気分的にも複雑です(バイク自体は無事)。
by チェルニー大尉 (2012-02-13 01:57)
>チェルニー大尉さん
いつも色々教えて頂き、有り難うございます。
しかし、他人のヘルメットを盗む心理ってわからないなぁ…。
by ボーズandカナコ (2012-02-13 08:24)