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2012年6月号 [和庵だより]

 ◇回峰行体験◇
 
 寺報が遅くなりました。実は五月末〜六月一日まで、京都の比叡山延暦寺に仏教伝道協会の研修で行き、その経験を書くために数日遅れてしまいました。

 様々な宗派の僧侶が集まり、毎年各宗派の本山で研修が行われています。今年は日本仏教の総本山とも言うべき比叡山で二泊三日の日程でした。

 初日の昼に京都駅に集合、駅に五十名超の僧侶が集まりますが流石に京都、周囲の人はあまり気にしていません。そしてバスに乗って約一時間、比叡山の研修施設「居士林道場」へ到着。説明会や自己紹介、班ごとのミーティングなどを終え、また作法の厳しい食事、入浴を経て九時に就寝します。
 翌朝は五時起床。ご講師による講義と班に分かれての分科会、一日座学でした。
 
 そして夜、九時の就寝を待たずに皆さん布団に入り始めます。何故かというと、翌日(というか数時間後)、私としてはメインイベントである回峰行一日体験があるのです。皆さま、比叡山の千日回峰行はご存知でしょうか?
 
 七年にわたって行者さまは、ある年は百日、ある年は二百日、合計千日に渡り比叡の山の中を翔ぶように走り回り、様々な場所で巡拝します。午前二時に出発し、短いコースで三十㎞、長い行程では六十㎞〜八十四㎞という気の遠くなるほどの距離を草鞋履きで進みます。

 しかも、どんな事情があっても中断は許されません。行者さまに渡される物の中に短刀と麻紐があります。これは、もし回峰行を続けられなくなった時には自害をするためだという凄まじさです。

 千年を超える延暦寺の歴史で達成者は五十人足らず。今回の研修では平成十五年に回峰行を終えた藤波源信阿闍梨が先達となり、私たちを導いて下さいます。


 午前十二時五十分に起床…外は当然真っ暗です。急いで準備をして一時半に出発。すぐに舗装路を離れ、初めは自然公園の遊歩道のような道から、徐々に道なき道に。

 元々は、私が一方的にある方に誓った回峰行への参加です。未知の修行に不安が募り、昨年から練習を積んできました。道具も色々揃えました。それが功を奏して、大変ではありましたが余裕を持って進む事が出来、女性や年配の方をお手伝いさせて頂きながらゴールまで辿り着く事が出来ました。

 本来の行者さまの道程から見れば散歩のようなコース、しかもたった一日で何も変わりはしません。しかし滅多に味わえない貴重な経験と、志ある僧侶たちとの出逢いは貴重なものとなりました。

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