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建長寺坐禅顛末記その3 [建長寺・坐禅記]

境内の拝観も終わり、ついに晩ご飯です。建長寺では、夕食の事を薬石(やくせき)と呼びます。もともと初期の仏教僧は、1日2食、朝と昼だけで晩ご飯はありませんでした。建長寺でもその伝統を受け継いでいましたが、体の衰えと飢え、乾きをしのぐためのお薬として夕食をいただくようになりました。だから薬石と言うそうです。ちなみに食事も修行の一環なので、様々な作法を守って食事をします。

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↑1日目の晩ご飯
 白米・けんちん汁・漬け物・精進揚げ・水菜のおひたし
 ごま豆腐・がんもどきの煮物
 以上7品

担当の和尚によると、こんな豪華な食事はそうそう無いそうです。せいぜい5品、修行僧の食事は3品だそうです。

食事の作法は、まず食べるもののお皿を必ず持って口元に寄せて食べる事。それと、物音を立ててはいけない事。私語ももちろんダメですし、持った皿を置く時も音を立てないように置きます。そして、出されたものは決して残してはいけない、という事です。

量に関しては、ご飯とけんちん汁がおかわり自由だったので問題なしです。ダイエットできるかも、という淡い希望は露と消えました(笑)。

ちなみにけんちん汁は(諸説ありますが)建長寺が発祥だそうです。その昔、残り物の野菜を汁に仕立てていた修行僧が、そこに入れようとしていた豆腐を地面に落としてしまいました。それを見ていた初代住職が豆腐を拾い集め、汚れを落として汁に加えたそうです。出された食事を残さないという事もそうですが、ものを粗末にしない、無駄にしないという禅寺の精神が息づいています。そうそう、さすが本家のけんちん汁、とても美味しかったですよ。

食べ終わると、全員にほうじ茶の入った土瓶が回されます。ご飯の器にお茶を入れ、それを他の器に移し、ひと切れ残しておいたタクワンで皿を洗います。器を洗ったほうじ茶は、全て飲み干します。これで食事は終了。ちなみに食前食後に読経もあります。


夕食を食べてみて思ったんですが、本山で毎年1月に行われる報恩講(ほうおんこう)で出されるお非時(おひじ)が、初日に建長寺で食べた薬石と似ています。

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↑専修寺の料理 お非時

白米とみそ汁(名古屋文化圏なので、赤みそ仕立てです)、タクワン、煮豆、浅漬け、がんもどきの煮物。ね、似てますよね。要するに、昔の人のごちそう、というのはこういう物だったのでしょう。現代の私たちから見るとシンプルな食事です。肉も魚もありません。しかしその分、作り手の真心が込められ、手間ひまがかかっています。私は年に一度、本山でこの食事をいただくと、とてもホッとするんです。

その後はオリエンテーションと各参加者の自己紹介がありました。さて、明日は5時半起床です。早く寝ないと!

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