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インドを変える 佐々井秀嶺師 [その他色々]

2009年6月4日、鶴見の総持寺で佐々井秀嶺師の講演がありました。
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佐々井秀嶺師は、日本で僧侶になった後インドに渡り、その後ずっとインドで活躍をされてきた方です。現在はインド国籍に帰化をし、さまざまな活動をされていますが、何と言っても不可触賎民と言われる被差別階級の解放運動が有名です。

インドにはカースト制度という身分制度が今もなお生きています。日本でも士農工商制度がありましたが、カースト制度は上から順に「バラモン(祭司)」「クシャトリア(戦士)」「ヴァイシャ(平民)」「シュードラ(奴隷)」の4つに分かれています。このカースト内でも細かく階級が分かれていて、階級を越えた交流や結婚などが出来ず、インドの発展の大きな妨げになっていると言われています。

さらにカースト制度は上記4段階だけにとどまらず、シュードラ以下の階級もあります。それが前述した不可触賎民、カーストから外れた者としてアウトカーストとも呼ばれます。彼らに対する待遇は動物以下とされ、本人に何の罪もないのに人間扱いをされないという非道きわまりないものです。

佐々井師の師といえるのが、アンベードカル博士です。博士はこの不可触賎民の出身でしたが必死に努力をし、法務大臣にまで上りつめた方です。自身が幼いとき受けたいわれなき差別を無くそうと、反カースト運動も推進していました。その中で出遇ったのがお釈迦さまの教えです。

カースト制度は、もともとインドの伝統宗教であるヒンドゥー教の影響が色濃く出ています。つまり身分差別を後押しするヒンドゥー教から、身分差別を良しとしない仏教に改宗をすれば、カースト制度からも解放されるという考え方に行き当たりました。
ちなみに、インドは仏教国だと思われがちですが、様々な要因により仏教は衰退しきっていました。しかしアンベードカル博士と佐々井師は新仏教徒運動を展開し、アウトカーストの人々を中心に多い時は一度に数万人規模の改宗を行い、仏教徒数は飛躍的に延びているそうです。

現在74歳の佐々井師は、ガラガラ声でひとつひとつの単語を力強く、はっきりと語ります。細かい言葉が聞き取りにくい事もありましたが、とにかく力強い!私の親と同年代ですが、決意と目的が、これほど人に力を与えるのかと驚かされました。
そして、日本とはあまりにも違う環境で活動をされているからか「闘うお坊さん」という雰囲気を強く受けました。インドでは、日本のお坊さんのように穏やかに、慎ましやかに、ニコニコしていたら何も出来ないし何も伝えられないでしょう。

とにかく聴衆たちは、その迫力に打たれっぱなしでした。

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↑現在総持寺で修行中の雲水たち。
 この日は人権学習の一環として、佐々井師を招いたそうです。

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↑こちらは一般聴講者、僧俗交え大勢の参加がありました。
 (写真は油絵風の加工をしています)


6月6日追記
まるで不動明王のように、熱く力強く、社会悪に対して怒りをもって話をされていた佐々井秀嶺師。公演が終わり部屋を退出する時にクルッと振り返り、笑みを浮かべ両手を大きく振り「さようならー!!」。
きっとあれが、佐々井師の素顔なんだろうなぁ…。大きく暖かな存在を感じました。

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