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8月の法話会 [月々の法語]

 今月は、いつもの法話会と少し趣向を変えて、盂蘭盆会法要並びに全戦没者追悼法要と言う事で進めて参ります。お勤めするお経が「仏説阿弥陀経」になり、またお話もいつものカレンダーではなく、戦争と平和にまつわるお話です。


 今月末に選挙がありますが、与党の中心になる可能性があるのは自民党と民主党だと思われます。このどちらの党も、戦争(自衛隊の国際貢献という言い方をしていますが)を否定していません。私という人間はいい加減ですから、そちらの意見を聞けば「なるほど」と思い、反対の意見を聞いても「それももっともだ」と思ってしまいます。

 しかし仏教者としての立場に立った時はハッキリしています。非戦平和。武力に頼る事を良しとせず、平和的に問題を解決する事を追求する、という立場です。

 本願寺派の天岸浄圓師は「宗教とは、自分が拝むものを確定する事です。そしてそれに基づいて、良い・悪いを判断し行動するのが宗教なのです。ですから、宗教とは自分自身の価値観を確立する事なのです。」とおっしゃっています。


 なごみあんだよりにも書きましたが、お釈迦さまは法句経というお経の中で

 「全ての者は暴力におびえ、全ての者は死を恐れる。

  我が身に引き当てて、殺してはならない、殺さしめてはならない。」

とおっしゃっています。殺してはならない、ここまでは誰でも言えます。道徳でも言えますし、法律でも言えますし、他の宗教でももちろん言っている事だと思います。しかし「殺さしめてはならない」という言葉が仏教の優れた点だと思います。争いを招くような状況を作ってはいけない、周りの国々と信頼関係を築く不断の努力をしなければならない。また人の上に立つ者は、他者を争いの場に行かせないよう、不断の努力をし無くてはならない。つまり、平和とは何もせずに得られるものではなく、努力をして手に入れるものなんだ、と言う事だと思います。これは国と国、という大きな視点だけでなく、家庭・夫婦という小さな視点でも同じ事だと思います。


 さて、なごみ庵は真宗、浄土真宗の教えです。阿弥陀仏が建立した極楽浄土という世界に、私たちはいのちを終えた後、極楽浄土へ参って仏となる、そういう教えです。今日お勤めした「仏説阿弥陀経」は、阿弥陀仏と浄土の様子が説かれたお経で、特に極楽浄土の建物の様子や池に咲く蓮の花などが描かれた叙景詩です。

 では、その美しい風景以外の極楽浄土の特徴は、色々ありますが「地獄・餓鬼・畜生」が居ない事があげられます。仏教以前のインド人の思想では、この世界は6つに分かれている。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天、この6つの世界を私たちは生まれ変わり死に変わりしている。前の世界で良い事をしたか悪い事をしたか、それによって今の状況が決まり、また今の人生で良い事をするか悪い事をするか、それによって次にどう生まれ変わるかが決まる、そういう考え方です。

 地獄・餓鬼・畜生は、聞いただけでもあまり行きたくなさそうな世界です。地獄は絶えず争いをし続ける世界、餓鬼は絶えず飢えに苦しむ世界、畜生は絶えずいのちを奪われる恐怖にさらされる世界です。日本国憲法の前文に「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と書かれているそうです。これは正に浄土のことを言っているかのようです。このお経が出来た遥か昔も、日本国憲法が書かれた60年前も、そして現代も、人間の求めるものはそれほど大きくは変わってはいないということでしょう。


 世界中の全ての人が、飢えに苦しまず、生命の危険にさらされず、争いに巻き込まれない、そんな極楽浄土のような世界が現実にやってくることはあり得ないかもしれません。しかし、無理だから最初から諦めるのか、それとも少しでもりそうに近づけるように努力をするのか、その差は決して小さくないと思います。


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コメント 2

白牛

>「宗教とは、自分が拝むものを確定する事です。」

考えさせられました。


同じ部署の還暦を越えたある〇職は、明日葬式があるといっては朝から浮かれて、昼には寿司をとっていました。

ムカついて仕方がありません。


by 白牛 (2009-08-25 18:10) 

ボーズ

>白牛さん
それは…腹が立ちますね(苦笑)
きっとその方とは「拝むもの」が違うのでしょう。

え?なにを拝んでいるかって?
ご本尊の金箔かもしれませんね〜。
by ボーズ (2009-08-27 08:00) 

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