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2018年10月号 [和庵だより]

◇ LとかGとかBとかTとか ◇

 以前「自然界は弱肉強食なのに、人間は弱者を生かしているのは何故か」という問いがあり、それに対する見事な回答記事を目にしました。

要約すると「人間は皆、自然界では弱者だが、社会を作り上げ、より弱い存在をも守り生かしていくことが人間の人間たる所以である」といったものです。
文明の発達とともに、弱い者や少数派を抱える余裕を持つことが、いつ自分や家族がその立場になるか分からない、と予想することができる人間の生存戦略だということでしょう。

 少数派といえば、最近ではLGBTという言葉が話題になっています。芸能界では、古くは美輪明宏さんやカルーセル麻紀さん、最近ではマツコ・デラックスさんやIKKOさんなど活躍されているかたが多いですが、実社会ではまだまだ偏見・蔑視が根強い状況です。

 ある調査によるとLGBTは約8%。左利きや血液AB型と同程度の割合でいらっしゃるのだそうです。「えっ、私の回りには1人もいない」と思われるかたも多いと思いますが、まだまだ差別や偏見を恐れて隠している場合が多いのでしょう。

また、「LGBT」だけでは多様な「あり方」を表せないことから、最近では「LGBTs」という表現もなされています。

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 実は最近、オカマ(本人自称)のBSディム(ペンネーム)というかたとご縁がありました。
ディムさんはインターネット上で悩み相談を受けており、それが好評で書籍化することに。その書籍の目玉として、いつもは相談を受けている筆者が逆に僧侶に相談するという企画が持ち上がり、その相手として選んでいただいのです。
私もあまりLGBTに関する知識が無かったのですが、これを機会に色々勉強することができ、有り難く面白いご縁でした。

 『しんどいオカマのちょっと一杯いかがかしら』というユニークなタイトルで、角川書店から9月28日発売です。巻末に私との対談が掲載されていますので、ご興味のあるかたはぜひ手に取っていただければ幸いです。


◎ お 知 ら せ & ◇ ご 報 告


◎バス旅行の中止と写経会開催 10月19日(金)
毎年秋のバスツアーですが、今年は残念ながら中止となりました。
そのため10月の写経会は、通常通り10時30分から開催いたします。

◎いきもの追悼法要 なごみ庵にて 10月21日(日)13時より
今年からペットの追悼法要をお勤めいたします。

◎NHK Eテレ「あしたも晴れ! 人生レシピ」10月26日(金)20時より
「死の体験旅行」や、なごみ庵写経会を取材していただきました。
カットにならなければ番組内で紹介される予定です、ぜひご覧ください。
再放送は11月2日(金)11時。

◎コラボ企画「仏教甘味と共に味わう 死の体験旅行」11月10日(土)13時より
東京都港区芝の仏教伝道協会で、コラボ企画が開催されます。
虎ノ門の光明寺に勤め、スイーツ僧侶として名高い木原祐健さんが作る、仏教にまつわる
甘味、そして「死の体験旅行」を共に体験します。

自死・自殺に向き合う僧侶の会 自死者追悼法要 12月1日(土) 築地本願寺
例年どおり、自死者追悼法要を開催いたします。詳細はどうぞお尋ねください。

◎なごみ庵 報恩講法要 12月9日(日)13時より
今年の報恩講のご講師は、テレビでよく見るあのお坊さん! 詳細は次号でお知らせします。

◦神之木地区センター写経会  10月2日(火)18時30分
◦神之木地区センター笑いヨガ 10月8日(月)10時30分(12月まで毎月第2月曜)
◦死の体験旅行  10月15日(月)19時 豊島区 金剛院
◦自死遺族の集い 10月25日(木)10時30分 築地本願寺

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讀売新聞 神奈川県版に掲載 [死の体験旅行]

2018年9月23日、お彼岸のお中日の讀売新聞 神奈川県版に「死の体験旅行」の記事をご掲載いただきました (^人^)

当日はお彼岸法要もあったので、その準備だったり問い合わせが来たりと、慌ただしい一日でした。
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DIY.KESA! [その他色々]

手芸好きの坊守(妻)、着なくなった着物などを材料にコースターやティッシュケースなど小物を作るのが趣味です。
時には気合いが入りすぎて、フルタイムの仕事ぐらい裁縫部屋に籠もってしまいます (^_^;) 
(ちなみに以前、「サイホウに行ってきます」と言われ、西方極楽浄土に行ってしまうのかと驚いてしまいました)

さて、今日も今日とて裁縫にいそしむ坊守。
今度はなにやら細長いものを作っている様子。

なにが出来るのかな…と様子を見ていたら…
sml.IMG_2486.jpg
袈裟。

え!? 袈裟って自分で作れるの?
あとちょっと派手じゃない!?

最初は試作的な感じで派手な生地を使ったよう。
その後はコツをつかんだのか…
sml.IMG_2487.jpg
量産体制に(笑)

この袈裟、正確には「略式畳袈裟」と呼ばれるものです。
それにしても袈裟って法衣屋さんで買うしかないと思い込んでいたんですが、人間やってやれないことはないんですね〜〜
sml.IMG_2493.jpg
ひとつ頂戴しました。
大島紬の着物から作ったものだそうで、とても細かく落ち着いた柄がお気に入りです (^_^)

大好きなあのお坊さんに手作りの袈裟をプレゼントしたいわ〜というアナタ!
ぜひチャレンジしてみてはいかがですか!

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2018年9月の法語 [月々の法語]

今年は親鸞聖人のお言葉を、弟子の唯円(とされています)が聞き書きをした『歎異抄(たんにしょう)』を題材としてお話しさせて頂いています。
スクリーンショット 2018-09-13 09-13 21.37.22.png
7月8月はお盆で法話会がお休みでしたので、3ヵ月ぶりの開催となりました。
1月の前序から順に進めてきましたが、6月にひとつ飛ばして第6条をお話しましたので、今月はひとつ戻って第5条です。

『歎異抄』は私たちの常識からすると驚くような言葉をテーマにして、そこから話が展開されていく場合が多くあります。それだけ弟子の唯円の記憶に、深く刻まれている言葉ということでしょう。

第5条で親鸞聖人は、「私は父母の供養のためにお念仏を称えたことは一度もありません」と口を開きます。


皆さんがお寺に行く場合、どんな目的で訪れるでしょうか?
観光だったり写経だったり色々な目的があるでしょうが、なにより一番多い目的は、亡くなった方の供養ではないでしょうか。お葬式やご法事など、様々な供養の形があります。

親鸞聖人はひとつの宗派を開いたほどのお坊さんですから、亡き親の供養も懇ろになさったんだろうな…と思ったら驚愕の「していない」発言です。
いったいどういうことなのでしょうか、親鸞さまがとても冷たい人だということでしょうか?

もちろんそうではありません。
親鸞聖人は言葉を続けます。

この世に生きる一切の生きとし生けるものは、何度も輪廻を繰り返す中で、いつか親子や兄妹だったかもしれない。

そして…

まずはお念仏によって自らが仏となり、そして自由自在に縁ある存在を救いとっていこう。

今生の親子や兄妹という関係の相手だけを救うのではない。
そして不十分な己の力でではなく、仏さまとなって自由自在に全てを救いとっていこう。

親鸞聖人は冷たいのではなく、広大無辺な慈悲の道を私たちに示してくださっています。

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募金の意味 [その他色々]

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先日、初めて街頭募金活動をさせて頂くご縁がありました。
https://753an.blog.so-net.ne.jp/2018-08-31

1回か2回ぐらい「人から金を集めてないで、自分の金で支援すればいいじゃないか」なんて絡まれるかもしれないなと考えていたのですが、残念(?)ながら今回そういったことはありませんでした。

募金活動に対し、ときどきそんな意見を耳目にすることがあります。
しかし、少なくとも僧侶が行う募金活動に関しては「支援金を集める」ことだけが目的ではありません。
多くの人に善行をして頂くご縁を作る、というのが目に見えない目的だと思っています。


1人の人が1万円の寄付をすれば、それはそこで終わってしまいます。
でも募金活動で、たとえば3人の方が千円を入れ、10人の方が五百円玉を入れ、20人の方が百円を入れれば、33人もの方が「自分は被災地のために何かしたんだ」と思うことができます。

実際の例では、東日本大震災の一周年の際、横浜市営の関内ホールで行事を開催した時のことが思い出されます。
10万円ほどの経費がかかったと記憶していますが、264の席が満席になり、約20万円の募金が集まりました。
これも私が10万円を寄付すれば、それでおしまいになる話でした。
しかし264名の方が(全員かどうか分かりませんが)少しずつ出してくださった20万円は、264名の思いが込められています。


ニューヨークの元市長、ジュリアーニ氏の「割れ窓理論」は、1枚の割れた窓を放置しておくと、そこから街の治安が悪化していくというものです。逆を言えば、1枚の窓を入れ直し、ひとつのゴミを拾えば、街の治安が保たれることに繋がるいうことでしょう。

これは人の心にも当てはまると思っています。
道端でついゴミを捨てたり、困っている人を見て見ぬふりして通り過ぎれば、その人の心は少しずつ荒んでいくのではないでしょうか。

逆に、ゴミを拾ったり、重い荷物を持つ方を手助けしたり、募金箱に百円を入れたりすれば、少しずつ人の心は澄んでいくと思います。

少しずつ荒んだ心は、何か魔が差しそうになった時に後押しをするかもしれません。
しかし少しずつ澄んでいった心は、魔が差しそうになっても自分を引き止めてくれるということがあると思います。1人1人の変化はわずかでも、それが社会全体に広がれば大きな変化になるのではないでしょうか。

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2018年9月号 [和庵だより]

◇ 平成最後の夏 ◇

最近はひんぱんに「異常気象」という言葉を聞くようになって、これだけ多いと本当に「常とは異なる」なのかどうか分からなくなってしまいます。

僧侶の立場で感じることは、やはり葬儀の多さです。特に手伝っているお寺では、早くからの猛暑がひと段落した8月に入ってから増えました。疲労の蓄積が間を置いて表面化しているようですので、皆さまも9月に入ったからと安心せず、どうぞ体調管理にお気をつけください。


「常と異なる」体験といえば、7月末に友人僧侶と共に、演劇に出演させて頂くご縁がありました。
劇作家の別役実さん作『雰囲気のある死体』は病院が舞台のブラックユーモア作品。1970〜80年代に書かれたもののようで、病室でタバコを吸うのがOKだったりナースステーションが「看護婦詰所」と呼ばれていたりするのが時代を感じます。
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物語は、患者の増加で地下に急きょ作られた病室に入院患者が入ってくるシーンから始まります。しかしその病室の隣が霊安室だったのが騒動の原因で、個性的な登場人物が次々と現れたり、患者と遺体を取り違えたりと、ドタバタ劇が巻き起こります。

私は霊安室で読経(実際には無い状況ですが)するために病院にやってきた僧侶という役柄で、ラストシーンでは舞台上に1人取り残され、ご遺体に向かってお経をとなえ、幕が下ります。

この依頼、最初はどうしようか迷ったのですが、演出家の「騒動の中で『モノ』のように扱われてしまう『死体』が、僧侶によって尊厳ある『遺体』になる、そのリアリティが欲しい」という言葉でお受けさせて頂くことを決心しました。

亡き方を懇ろに弔うことによって、その尊厳を守り、ご遺族の心にほんの少しでも安寧が生じるようお手伝いをする。お芝居を通じて、改めて葬送儀礼の大切さを思い知ることができました。


◎ お 知 ら せ & ◇ ご 報 告

◎新WS「死んでから書くエンディングノート」 9月18日(火)19時より
マンダラエンディングノートと「死の体験旅行」のコラボ企画です。
通常のエンディングノートは事務的なことについて書くものが多いですが、マンダラエンディングノートは「自分の記憶や思い」に焦点を当てるものになっています、
東京都渋谷区文化総合センター大和田の学習室2で開催いたします。

◎秋のお彼岸法要 なごみ庵にて 9月23日(日祝)10時30分より
先月お知らせの通り、法要に続き絵本『地獄』の朗読と、それにちなんだ法話をいたします。お参りや法名奉読ご希望の方は、同封のお彼岸用の法名用紙をご使用ください。

◎動物追悼法要 なごみ庵にて 10月21日(日)13時より
以前から検討していたペットの追悼法要を、今年からお勤めいたします。
10月号にお申し込み用紙を同封させていただきます。

◎コラボ企画「仏教甘味と共に味わう 死の体験旅行」 11月10日(土)13時より
東京都港区芝の仏教伝道協会で、コラボ企画が開催されます。
虎ノ門の光明寺に勤め、スイーツ僧侶として名高い木原祐健さんが作る仏教にまつわる甘味、そして「死の体験旅行」を共に体験します。
来月号にご案内を同封しますが、早めに詳細をお知りになりたい方はご連絡ください。

◦神之木地区センター写経会  9月4日(火)18時30分
◦神之木地区センター笑いヨガ 9月10日(月)10時30分(12月まで毎月第2月曜)
◦死の体験旅行  9月10日(月)19時 豊島区 金剛院
◦自死遺族の集い 9月27日(木)10時30分 築地本願寺

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